「ただいま。今日も寒いね~。」バンド練を終えて先月買ったばかりのマイホームに返ってきた僕は玄関まで出向いてくれたアメリカンショートヘアに話しかけた。
「にゃ~お。」頭を撫でてもらいたげな我が家の猫によしよししてあげると、満足げに部屋に戻っていった。あいつももうすぐ2才か…。
「けんちゃん!帰ってたんなら言ってよ~!ごはんできてるよ!」
リビングから嫁の声がする。「ごめんごめん、ニャーにかまってたら言いそびれちゃった(笑)」そう返事しつつ部屋着に着替え、食卓につく。
「ツアーは出来そうなの?結構もめてるって聞いたけど」「心配ないよ。もう騒ぎは落ち着いたし、サンミュージックだって僕たちがツアーをやったほうがメリットは大きいはずだ。」あの騒動以来、僕が関わるすべての活動で生じる利益の7割がサンミュージックに入ることになっていた。皮肉なことに炎上マーケティングの恩恵にあずかり、2年前と比べて知名度も売り上げも段違いになっている。
さっきまで大きな蒼い瞳で僕の顔を心配そうにのぞき込んでいた彼女は、一瞬複雑な表情になり、すぐに笑顔をみせた。
「ねえ、今度のクリスマス、どこ行こっか?あたしゆっくりできるところがいいなあ」心底楽しみだと顔に書いてあるのがわかる。いつまでたっても変わらないな。
「ああ、クリスマスはね、」
雪はもうすぐ止むだろう。そう、あと少しで。
お楽しみいただけましたでしょうか。深夜テンションで書いたくそ記事ですのであしからず。あーめん。