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【書評】落合陽一「超AI時代の生存戦略」

こんにちは。今回はメディアに引っ張りだこの筑波大学助教授、落合陽一氏の著書「超AI時代の生存戦略」の書評です。

以前から軽く落合陽一氏のファンだったのもあって、終始楽しく読めました。前著「これからの世界をつくる仲間たちへ」も読んだのですが、前著はこれからの時代を生きるための漠然とした方法論とか考え方が書かれていて、今回の著作はより具体的な「生存戦略」が書かれているように感じました。

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プロローグ

映像の世紀から魔法の世紀へ

映像装置の発明・普及により共有できる情報が爆発的に増加した20世紀は映像の世紀と呼ばれる。一方、スマホが普及し、通信網の発達による高速通信の恩恵に与れるようになった今世紀は「集団への体験共有」から「個人の能力拡張」への大きな舵を切った。前世紀には不可能であった物理的干渉を起こし、容易に使え、精緻な結果をもたらすことができるようになったことで、それによる恩恵は魔法のように感じられ、またその制御機能があまりにも難解で仕組みがブラックボックス化することから今世紀は魔法の世紀であると言える。

超AI時代の「生き方」

ワークライフバランスとワークアズライフという考え方

スマートフォンは我々の仕事の仕方すらも変えてしまった。24時間連絡が取れ、高性能な小型コンピュータの役割も担うこの発明品は、いつどこでも仕事ができるようになった。魔法の世紀ではますます仕事とプライベートの区別をすることが難しくなる。そこで、これからは時間で区切るのではなく、ストレスで区切る必要性が高まってくる。ライフをストレスフルの時間とストレスフリーな時間に分け、可能な限りストレスコントロールをする。ワークとライフが分けづらくなった今、「ワークとライフ」の対比で捉えるのではなく、「報酬とストレス」という対比で捉えた方が今の働き方を象徴している。

そして、どこまでも進化していくテクノロジーはやがて人類の知性を超えると言われ、それをシンギュラリティと呼ぶ。この流れの中で想定されるのは、人間の生活が「インターネットに管理される生活」と「インターネットを管理する生活」に大きく2分されることだ。これはどちらがいい悪いではなく、必要に応じて個人の中ですみ分けられていく。たとえば本業の一部の業務ではクリエイティブな仕事をし、予定管理などがすべてシステムに任せるなど。これからはすべての生活スタイルが許容されるので、自分に合った生活スタイルを確立していくといいだろう。

 

仕事になる趣味を「3つ」もて!

人間とコンピュータの大きな違いは、「趣味性」である。趣味とは、「誰にも制約されていないけどなんとなくやってしまうこと」。これからの時代、合理的で画一的に人々に許容されうる利便性はすぐにプラットフォームに吸収される社会になっていく。そうではない、いわばニッチな部分を見つけようとした場合に有効なのが「趣味性」の中である。機械によって労働が代替されて増えた可処分時間を使い、自分のオリジナリティを強化していくことがこの先の仕事につながっていく。自分の好きなものを把握し、趣味性の高いものを仕事にして、それによってストレスフリーで多くの利潤が発生しているという状況が、継続性があって望ましい。なかなか仕事になる趣味を見つけるのは難しいが。

そして、この仕事になる趣味にはギャンブル的な報酬とコレクション的な報酬、心地よさの報酬があると望ましい。ギャンブルとはうまくいくか分からずドキドキする要素、コレクションは積み上げたものを可視化できるかということで、心地よさは五感を使って感じ取れるものである。自分の好みに合わせて報酬を設定していくことが大事になる。

超AI時代の「働き方」

時間だけが唯一のリソースになりうる

機械に任せられる仕事がどんどん増えていくと、レイヤーの「上か下か」を見極めることと、ツールを使いこなすことが重要になってくる。つまり、この作業は本当に自分が時間を使ってやるべきなのかを常に考え、ツールで効率化できるところはどんどん自動化していくべきだということ。これから先、中間工程はどんどん効率化され、ホワイトカラーの仕事はなくなってくる。逆に、人間が人間であるがゆえにやらないといけないことは、きっと残ると思われる。

100人が100個の領域でトップになるべき

これから先、スペシャリストであることが大前提の時代になる。そして、各分野でトップにならなければ価値がない。しかし、自分なりにニッチな分野を確立しトップに君臨することは可能で、たとえば芥川賞をとるのはものすごく難しいけれど、この漫画がすごい!賞の方が価値を持つ場合もある。

まとめ

今回は3つの章の中で、特に面白かった「生き方」と「働き方」の一部を紹介させて頂きました。改めてまとめると、これからの時代にはワークライフバランスではなくワークアズライフとして認識し、ストレスマネジメントを行うことでできるだけストレスフリーな状態で趣味性を持った仕事を行って利潤を発生させること、自分の報酬をしっかり意識すること、ツールを用いてできるだけ効率化すること、個人個人がトップになれるような分野を持つことが大事ということでした。これらを意識して、日々精進していきたいです。